趣味ってなんだろう

たわごと

ある日、知人からこんな相談を受けたことがありました。

「何かいい趣味ないかな?」

知人は社会人になってからというものの、夢中になれるものが何も無くなってしまったのだそうで。
仕事や責任に追われるうちに日常はただただ消費されていくだけのものとなり、
気付けば「自分は何の為に生きているのだろう?」とふと虚しさに襲われるのだと。

一方相談を受けた私はというと、おそらく多趣味なほう。
だからこそ相談をしてくれたのだろうということで、私なりに張り切ってあれこれ提案してみました。

旅行や映画、料理、語学学習…etc
比較的メジャーなものから、はにわ作り体験だとか、角栓を搾り出す様子を映した動画をひたすら観るだとか、よく汚れがとれる掃除道具を追求するとか、ちょっとニッチなものまで。
それはそれはもう膨大な数を。

ですが困ったことに、何を提案してみても知人はイマイチ興味を示しません。

……う~ん、これは想定外だ。

まあ……考えてみれば当たり前のことなのですが。



実際にやってみると全く印象が変わるというのはよくあるもので。
大体の趣味というのは外側から見れば本当にしょーもないことなんですよね。

人の趣味を聞いた時に「え、それどこが楽しいの?」みたいなものってあるじゃないですか。
(どれとは言いませんよ。笑)

実際にネットで検索するだけでもこんな趣味がおすすめだよ~みたいなサイトがわんさか出てきます。
もちろん知人はそういったものには既に目を通しているわけで。でも見つからないから悩んでいるわけで。

結局概要や表層だけ知っていてもあまり意味がないのですよね。
じゃあどうするかと言われると、まずは一度やってみて、自分自身で内側に触れてみる。
これが最もシンプルで近道です。そうしてやっと初めて自分が何を楽しめるのか分かってきます。

ただ……そう、正直これが1番難しい。笑

これを聞いて「はいそうですね」と納得できる人は最初から悩んでないという……。


私が知人と話していて感じたのは、“とりあえずやってみる”
ここへのハードルがやたら高いな?ということです。

  • こんなことして何になるんだ?
  • 時間の無駄じゃないか?
  • 途中で飽きるだけかも?
  • 人に知られたら変に思われるのでは?

こんなふうに趣味に対して何かしらの理由付けや価値を必要としているイメージ。

確かに限られた人生の中で無駄や無意味な時間はなるべく減らしたいし、極力他人からマイナスな印象を抱かれるのは避けたい人のが多いですよね。
特に近年はコスパ、タイパ、効率重視的な風潮も強いので余計にそうだと思うんです。

ですがこの場合って、あくまでその瞬間の自分や世間の状態から見た基準でしかなくて、後から振り返ってみるとめちゃくちゃなことやってたなあ……超非効率だなあと案外なりがちだと思うんです。

心当たりありませんか?
「昔の自分、一体何を思ってあんなことやっていたんだろう?」っていう。黒歴史。

でも最初から黒歴史を作ろうと思って黒歴史を作る人はおそらくあまり居ないはずですので、そういった見方ってのは後から付いてくるんですよね。
けどそこに絶対的な法則性なんてなくて、結局どっちに転ぶかはギャンブルみたいなものなんじゃないかと私は思うんです。

ですが逆にこの黒歴史だって場面が変わればいくらでもお宝とは言わずとも価値あるものにはなり得るわけで。

ならば無駄なもの?無意味なもの?それって、なんぞや……?


ということでここで私なりのアンサーは、


どうせ今考えても分からないのだから
「やっていい理由探しなんて止めちまいませんか?」 です。

もしかしたら黒歴史100%みたいな結果もあり得るかもしれませんが。
(その場合はすみません。事前に謝っておきます。笑)


ですがそういった効率だとか合理性だとかを究極的に突き詰めていくと何が残るのか?って考えた時、

たぶんもう行き着く先は“死”なんですよね。

私の好きな著名人の方の中に養老孟司さんがいらっしゃるのですが、この方はこういうことをよく言うんですよ。

効率的にどんどんやるんだったら死んだらいいんですよもう。
どうせ死ぬんですから、そうでしょう?
人生ってそういう意味では完全な寄り道ですよね。

死ぬまでの寄り道だから、ゆったり寄り道してりゃいいんで。

いま子供、寄り道させてませんよ。危ないとか塾だとかヘッタクレだとか言ってですね。
だから人生が全然その、寄り道じゃなくなっちゃって一直線でしょ?
一直線になっちゃったら墓に行くのが一番簡単ですよ。

第12回心と命のフォーラム『生きる作法・死ぬ作法』 テーマ「ないがまま で 生きる」
平成30年10月10日(水)総本山善通寺


これを聞いたときに私はすごく腑に落ちまして。


なので、結構遠回りをしてしまいましたが、
趣味だってもっと気楽な感じでいいじゃないですか。というお話でした。

もっとゆる~く、笑っちゃうくらいくだらなくても良いじゃないですか。

まずはなんとなく一時でも心地よさを感じられるもの。
自分だけがほんの少し満たされるもの。自分だけがなんか楽しいような気がするもの。
それを少しずつ試していけば、きっと何かに出会えているはず。

恥ずかしかったら誰にも言わなくていい。
それが本来あるべき趣味の形だと、私は思います。

ちなみにその後の知人なのですが、偶然参加した集まりでゲームパーティーのようなものが開かれたらしく、そこでプレイしたとある戦国武将で戦うゲームのキャラクターに一目惚れをして、個人的にそのゲームを購入したそうです。
今では立派なゲーマーとなりましたとさ。

ドン勝したと思ったら油揚げだった

「ゲーム!私もおすすめしたじゃん!」と言いたくなったのは
もはや仕方あるまい。笑

そんな些細な巡り合わせが発端なんてのもまたよくある話。
趣味ってそんなものなのでしょう。

長くなりましたが、いつかそんなゆる~い趣味探しのヒントにもなれるような、効率的とは言えない生き方を良しとするような、そんなことを綴っていく場が欲しいなと思い、私はこのブログを立ち上げました。

誰かが楽しそうにしていると不思議と気になってくるものってありますよね。
「楽しいことなんて何もないよ」って人が、「これならやってみたいかも」と思えるようなきっかけに少しでもなれるようなものを書いていけたらとも思います。

ただし、当方ブログのサブタイトル通り、
とてもインドアな人間ですので、ジャンルに偏りがあることはお許しください。


すでに趣味があるよって方も、新しい趣味を探しているよって方も。

ちょっと覗いていってみませんか?


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